binbo日記∞

とある大阪大学生が、新しい遊びを見つけつつ、勝手にいろいろ書いていくブログです。

勧めたい歌詞【アパルトの中の恋人達】【ハマヌーン】(RB)

君達に勧めたい歌詞①

 

 

俺は音楽が好きだ。

それも、標準的な人より少し詳しいぐらいには好きだ。

好きが講じて高校の時には計50曲ぐらい曲を作った。そんな中でも、俺は特に日本語の歌は歌詞が重要だと思う。

なぜなら、メロディや音作りはイギリスやアメリカが大体先を行くからだ。

 

そんな中でも、本当に天才的な歌詞というものは幾つか知っている。歌詞を分析することは好きで、暇な時に勝手にやっている。

 

俺は、親友だと思う君達にはそんな曲をお勧めしたいと思う。

ちょっと酔っているので、駄文になるのは申し訳ない。

 

 

 

この曲は、安い小説よりもよっぽど純文学だ。
まずは歌詞を見て欲しい。

 

アパルトの中の恋人達
/演奏 ハヌマーン

 


彼女の寝息を確かめた後
部屋を出て夜を吸い込んで
「戦争が起きたらどーしよー」とか
脈絡のないこと考えてた

誰も知らないところで虚しく
色を変える夜の信号は
まるで今の自分そのものだった
もたげる首の角度まで同じだった

予定のない今日の月の形
夜にかじられた様なそんな形
あの月は何て名前なのかな
理科の授業もっとちゃんと聞いとけばな

古い人形抱いたまま眠って
目が覚めたら彼は部屋にいなくて
「浴槽のお湯流したっけなー」とか
あすの朝食のこと考えてた

守られるか無視される以外には
用途のない夜の信号は
「あーなりたくない」と想う女子そのものだった
不憫そうな姿まで同じだった

星屑の点を線で繋ぐように
あなたとの日々も意味を持つかな
臥待月が出てるからでしょう
やけに叙情的になってしまうのは

部屋に帰れば彼女はまだ眠ってて
床に落ちた台湾製のそれと目が合う

アパルトの中の恋人達
愛し合うと云うにはおぞましいほど
醜い行為に果てた後で
ざらっとする後ろめたさはなんだろう

例えばその薄汚れた人形
ボタンの目でいつも君を見てる
君の薄汚れた人形
毛糸の唇で笑っているよ
所詮、中身はスポンジと綿だし
涙ぬぐい取るそのオンボロみたいに僕はなりたい

 


俺にとって、この曲は曲がりなりにも、作曲してバンドを金稼げるくらい本気でやりたいな、と思っていた気持ちを一掃するには充分な力があった。あまりに歌詞が素晴らしいと思ったからだ。この曲の良さを語ると長くなるので、出来るだけ端的にお伝えしたい。

 


RBの考察

 


①男/女 の対比

1番 男
・脈絡のないことを考える性格
・夜の信号をまるで自分のようなふがいない存在だと感じている
・特別な月の形の名前を知らない


Cメロから終わりまで 男
・彼女が一度起きたことを知らない
・愛しきれていない彼女とsexをするざらっとした後ろめたさ
・彼女の好きな人形を所詮スポンジと綿だと考える冷たさ
・でも彼女の支えになれるだけ人形の方が自分よりマシだと思っている

2番から 女
・古い人形を抱きしめて寝ている
→彼を抱きしめて寝ることはできない関係、彼からの粗雑な扱いを連想
・浴槽の湯〜
→彼より現実的な思考
・夜の信号を見てなりたくない女子だと思う
→彼との感覚の相違
・星屑を点と線で繋ぐように あなたとの日々も意味を持つかな
→ただの星の集まりである星座に意味が見出されるようにずるっとした彼との関係にも意味があって欲しいと感じている
・特殊な月の名前を臥待月と知っている
→彼より頭がいい


このように、幻想的な彼と現実的な彼女とのすれ違いの模様が鮮やかに対比されている。これだけ見てもこの曲の完成度がいかに高いかがわかる。

 


台湾製のそれ

台湾製のそれ、とは最初コンドームかと思ったが、目が合ったとあるから彼女の古い人形と考えるのが妥当である。

彼女がいつも抱いている人形が床に落ちている→彼女が起きたのかもしれない、なんて考えるには至らないくらいには彼女に注意を向けていない彼の心情背景が見える。

③信号と月

形容詞が多いと一枚の絵のような曲になる、というのは作詞をかじったことのある人はよく知っている。そういう意味ではこの曲は静止画的だと思う。その中でも特に信号と月は二人の感覚の違い、立場の違いを示す重要なメタファーになっている。その辺りの表現は本当に秀逸で、初めて聞いた時は言葉を失ってしまった。そして、臥待月とは昔、多分古文とかの時代に恋人を臥す=横になって待つ月という特殊な月を示している。すなわち、この曲そのものの彼女と掛かっているのだ!ヤバくね???

 

この曲は短絡的に言えばいわゆるエモい曲だ。

だがしかし、それでは片付けられないほど緻密な心理描写と背景描写に満ち溢れているので、センスのいい君達には是非聞いて欲しいなと思う。

 

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